ランドセルの歴史はいつから?意外な由来と語源、現代までの進化を解説!

ランドセルの由来は江戸時代のオランダ語「ransel」に遡り、軍用の背嚢から明治の学習院を経て、日本独自の通学かばんとして広まりました。戦後は全国に普及し、「小学生の象徴」として文化に根付いています。現代では軽量化や防水性などの機能が進化し、色やデザインの選択肢も豊富になりました。

ランドセルは歴史を受け継ぎながら、ご家族の想いとお子さまの成長を6年間支える存在。由来から最新事情、ラン活の流れまでを丁寧にご紹介します。

黒とブルーのランドセルを背負った男の子のことを、母親が愛情深い様子で見守っている。

ランドセルの由来

「ランドセル」の起源は、幕末(江戸時代後期)まで遡ります。実は長いランドセルの歴史。私達も子供の頃使ってきたランドセルですが、なぜ「ランドセル」と呼ばれるようになったのか?その背景をご存知の方は少ないのでは。早速その歴史を見ていきましょう。

由来はオランダ語の「ランセル」

「ランドセル」の始まりは江戸時代。
当時、日本は鎖国政策をとっていましたが例外的に貿易を許可されたオランダとは交流がありました。江戸時代末期、日本の軍隊は西洋式の軍備を導入し始めます。

ransel_comp
国立国会図書館 提供

その際、交流のあったオランダ軍が使用していた背嚢(背負い鞄・リュックサック)を参考にし、日本の軍も背負い鞄を使うようになりました。

その「背嚢」を指す言葉がオランダ語で「ランセル(ransel)」だったのです。
最初は小学生ではなく、軍人が使っていた背負い鞄がランドセルの始まりなのです。

しかし、「ランセル」と「ランドセル」では言葉の響きがだいぶ異なりますよね。
実は「ランセル」は、まず「ラントスル」という言葉として定着し、その後「ランドセル」になったようです。
では、その理由を見ていきましょう。

江戸時代の「ラントスル」から「ランドセル」への進化

オランダから伝わった「ransel(ランセル)」という言葉は、日本ではまず「ラントスル」として定着したと言われています。

前述したように、江戸時代、日本はオランダとの貿易を長崎の出島で行っており、多くのオランダ語が日本に入ってきました。
当時入ってきたオランダ語は、主に医学・科学・航海・軍事・日用品などの分野に関するものが多かったようです。

日本語オランダ語(言語)
ビールbier
コーヒーkoffie
ガラスglas
ピストルpistool

「ransel(ランセル)」もその一つであり、日本人の発音に合わせて 「ラントスル」 という呼ばれ方になったと考えられています。

「ランストル」から「ランドセル」へ変化したのは、この後解説する明治時代と言われています。

なぜランドセルは通学かばんになったか

教室 ランドセル

ランドセルが一般に普及する前の日本の子どもたちは、地域や時代によって異なる通学用の鞄を使っていました。
江戸時代には風呂敷や竹かご、明治時代の初期には「書籍かばん」と呼ばれる革製や布製の手さげかばんが登場しました。しかし、手さげかばんは片手が塞がるため、持ち運びに不便だったようです。

では、ここからランドセルが通学かばんとして定着した背景を見ていきましょう。

学習院での採用理由

明治10年(1877年) に学習院(皇族や華族の子どもが通う学校)が、西洋式教育を導入し、軍隊の背嚢を模した通学かばんを採用しました。

当時の日本は、西洋式の近代国家を目指しており、軍隊文化が教育制度にも影響を与えていました。
当時の学習院は皇族や華族(貴族)の子どもたちを育成するエリート校であり、軍人や国家の指導者となる人材を育てることを目的としていました。そのため、軍隊式の教育の一環として、背嚢(ランドセル)を小学生の通学かばんとして採用したのです。

「両手が自由に使え、体にフィットして持ち運びがしやすい」という機能性も評価されたようです。

軍用から学生向けへの転換過程

明治20年(1887年) に、皇太子(後の大正天皇)が学習院初等科に入学する際、伊藤博文が特注の「箱型(学習院型)ランドセル」を献上しました。これが現在のランドセルの原型になったとされています。また、このとき、「ラントスル」から「ランドセル」という呼称に変わったとされています。

この出来事をきっかけに 「箱型(学習院型)ランドセル」 が広まり、裕福な家庭を中心に小学生の通学鞄として採用されるようになりました。

教育現場で選ばれ続ける4つの理由

ランドセルが日本の教育現場で選ばれ続けている理由には、実用性・安全性・文化的背景など、さまざまな要素があります。

その理由を見ていきましょう。

【1. 耐久性があり長期間使用できる】

ランドセルは頑丈に作られており、小学1年生から6年生まで買い替えずに使用できます。また、牛革や人工皮革など、耐久性の高い素材が使われており、型崩れしにくいのも特長です。近年は、雨の日でも安心して使えるように、防水・撥水加工が施されているものが多く販売されています。

【2. 重い荷物でも持ち運びしやすい設計】

箱型デザインは教科書やノートを整理して入れやすく、折れたり曲がったりしにくいというメリットがあります。さらに手提げカバンと違い、両手が自由になるため安全に歩くことができます。

カラフルなランドセルを背負った3人の子どもが、キラキラとした水面を眺めている様子

【3. 安全性が高い】

多くのランドセルは反射材がついており、夕方や雨の日でも車から見えやすい仕様になっています。その他、ランドセルの硬い構造が、転倒時や事故の際に背中を保護する役割を果たしたり、肩ベルトに防犯ブザーをつけるための専用フックがあるなど、子どもの安全面に配慮したランドセルが増えています。

【4. 日本の教育文化に根付いた象徴的な存在】

日本ではランドセルは単なる通学かばんではなく、小学校入学の象徴となっています。入学祝いの習慣として祖父母や親が子どもに贈る伝統的なプレゼントとして根付いてきました。特に公立小学校では、ランドセルを使用することが一般的になっています。

なぜランドセルは日本だけで独自の発展を遂げたのか?

では、ランドセルはなぜ日本だけで独自の発展を遂げたのでしょうか。

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“RIKEN VITAMIN” by 不明 – JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A06031060400、写真週報9号(国立公文書館). Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ –

それは、戦後の教育改革と関係があります。
戦後、日本は全国で義務教育を強化し、小学校の児童にランドセルを推奨しました。その結果、昭和30年代にはランドセルが全国の小学生に普及し「小学生=ランドセル」という文化が定着したのです。

また、ランドセルが日本の通学スタイルに適していたことも、発展の理由の一つと考えられます。

江戸時代や明治時代初期では、裕福な家庭の子どもたちが人力車や馬車を利用して通学していた時期がありましたが、これは都市部に限られ、一般的な通学方法ではありませんでした。地方など都市部以外では、徒歩通学がほとんどで、人力車や馬車は上流階級の特権的な移動手段でした。
徒歩通学では重い教科書を持ち歩く必要があるため、背負うことができるランドセルが便利だったのです。
欧米の子どもはスクールバスでの通学が主流で、リュックやショルダーバッグを使うことが多く、ランドセルのような「長期間利用する丈夫なかばん」は必要ありませんでした。

日本独自の「徒歩通学文化」が、ランドセルの発展を後押ししたと考えられます。

現代のランドセルはどう変わった?素材と特徴

教室 男の子

昔と比べて素材や機能、安全性が格段に進化したランドセル。現代のランドセルはどのように進化しているか具体的に見ていきましょう。

最新素材が実現した3つの進化

【1:軽量化】
クラリーノに代表される人工皮革などの軽量素材により、従来の本革製より軽いランドセルが増えています。また、肩ベルトなどに体への負荷を軽減する設計がされたランドセルもあります。

【2:耐久性の向上】
傷がつきにくい特殊コーティング加工が施され、長期間の使用に耐えられる他、形崩れしにくい強化樹脂フレームを採用し6年間美しい形を維持することができます。
サービス面でも、「6年間修理保証」があるランドセルメーカーが増えています。

ランドセル 黒

【3:防水・撥水性能の向上】
雨や汚れを弾く撥水加工で、昔のランドセルと比較してお手入れが簡単になりました。水に強い素材を使用し、急な雨でも中の教科書やノートが濡れにくい仕様になっています。

カラフルになったのはいつから?

ランドセルといえば、長い間「男の子は黒、女の子は赤」が定番でした。これは単なる慣習ではなく、当時の革の染色技術が影響しています。ムラなく美しく仕上げられる色が赤と黒に限られていたため、自然とこの2色が主流になっていたのです。ところが1970年代に茶や紺が登場し、1990年代には徐々にカラーバリエーションが増えていきました。

2000年代以降は技術革新も進み、現在では数十色の中から自由に選べる時代に。ラベンダーやピンクなどの明るい色、ブルーやグリーンといった落ち着いた色に加え、性別にとらわれないユニセックスカラーやデザイン性の高いモデルも人気です。色の多様化は、ランドセルを「準備品」から「お子さまらしさを表現できる特別な存在」へと変え、ご家族の思い出づくりをさらに豊かなものにしています。

安全・便利になった現代ランドセルの主な機能

安全性

鞄工房山本のランドセルは、お子さまが6年間安心して使えるよう、安全性と快適さを兼ね備えています。まず、前締めベルトや肩ベルトに反射材と反射テープを備え、雨の日や夕暮れ時でも車のライトに反射して存在を知らせます。肩ベルトには防犯ブザー用の金具を左右両方に設置しており、右きき・左ききどちらのお子さまにも対応。学校によっては笛が配布されることもあるため、防犯ブザーと反対側に付ければ使い分けもできます。

また、ループ金具は必要なときだけ引き出せる設計で、普段は中に収められるため頭に当たる心配がありません。背あて部分には硬さの異なる二種類のウレタンフォームを用いた凹凸構造を採用し、成長期のお子さまの背中にやさしくフィット。通気性に優れた人工皮革で包み込むことで蒸れを防ぎ、長時間の通学も快適に支えます。

安心・安全機能

子どもの登下校を守る!ランドセルの最新安全機能

鞄工房山本のランドセルには、お子さまの登下校を安全に見守るための工夫が詰まっています。背あてには二層構造のウレタンフォームを採用し、深い凹凸で通気性を確保しながら衝撃を吸収。成長期のお子さまの体にやさしくフィットし、長時間の通学でも快適です。

さらに、安全ナスカンは約13kgの負荷で外れる仕組みになっており、給食袋などが万が一車や自転車に引っかかっても、引っ張られる危険を防ぎます。小さな工夫の積み重ねが、6年間の毎日の安心につながり、ご家族に大きな信頼をもたらしています。

安全ナスカン

ランドセル選びはいつから始める?「ラン活」最新事情

「ラン活」とは、ランドセル購入のために情報収集から比較、予約までを行う活動を指します。SNSの普及によりInstagramなどで目にする機会が増え、「素敵なランドセルを選びたい」という想いを持つ保護者が年々増えています。特に数量限定や工房系の手作りランドセルは、販売初日で完売することも少なくなく、「欲しいものは早く動かないと手に入らない」という流れが定着しました。少子化や一人っ子世帯の増加もあり、「6年間大切に使う良いものを」という意識が高まっていることも背景にあります。

一般的なスケジュールは次の通りです。
・年中の夏〜年末年始:カタログ請求・比較検討
・12月〜3~月:注文受付開始
・2月〜年長の春頃:展示会や店舗で実物確認・購入
・GW頃までに:約7割が購入を完了

早めに動くことで、希望のカラーやモデルを確実に選べるのはもちろん、早期予約特典としてカバーやネーム刺繍が無料で付くこともあります。さらに手元に早く届けば、お子さまがじっくり背負い慣れる時間も増え、入学までを安心して迎えられます。ランドセル選びは単なる買い物ではなく、ご家族が未来の6年間を思い描きながら過ごす大切なひととき。詳しくは「ラン活の始め方」「ラン活はいつから?」でもご紹介しています。

ランドセルを選ぶ子ども

歴史を知って、さあ「ラン活」を始めよう

ランドセルは、軍用の背嚢から始まり、明治の学習院で通学かばんとして採用されたことをきっかけに、戦後の教育改革を経て全国に広がりました。耐久性や安全性、豊富なカラーバリエーションなど、現代では実用性と個性を兼ね備えた存在に進化しています。

ランドセル選びは「ラン活」と呼ばれる一大イベントとなり、一般的には年中の夏から比較・カタログ請求を始め、冬~春に注文が集中します。
鞄工房山本では、現在2027年ご入学向けのランドセルカタログ請求を受付しています。まずは、お気軽にカタログ請求から始めてみませんか。

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監修者情報

鞄工房山本 編集部
鞄工房山本 編集部

購入前に役立つ情報から、ご購入後にもきっと役立つような話題まで。ランドセルにまつわるあれこれを、心を込めてていねいにお届けしています。小さな情報の一つひとつが、ご家族の安心と笑顔につながりますように。

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