学童とは?保育の種類や料金を徹底解説!子どもに最適な居場所選びガイド

その他

勉強する子ども

共働き家庭の増加や家庭の多様化が進むなか、放課後に子どもが安心して過ごせる「学童保育」の重要性が高まっています。学童保育は、子どもたちにとっては学びと遊びを通じて社会性や自立心を育む大切な場であり、保護者にとっては安心して働き続けるための心強い支えです。本記事では、学童保育の基本的な仕組みや種類、1日の流れから、料金制度、選び方のポイント、そして待機児童や人材不足といった現代的な課題への対応まで、幅広く解説します。放課後の過ごし方に悩む保護者の方へ、安心できる選択の一助となる情報をお届けします。

学童保育とは?放課後の子どもの居場所を解説

ランドセルと子ども

学童保育とは、保護者が昼間働いている間、小学生の子どもたちに安全で安心できる居場所を提供し、健やかな成長を支援する制度です。対象年齢は一般的に小学校1年生から6年生(6歳~12歳)までで、自治体や施設によっては低学年を優先したり、支援の必要な子どもたちについて中学3年生まで受け入れる場合もあります。


学童保育の主な目的は、子どもたちが放課後を安全に過ごし、学びや遊びを通じて社会性や自立心を育むことにあります。宿題支援や体験型学習、遊びを通じた成長支援など、多様なプログラムが用意されており、子どもたちの多面的な発達を促します。
また、共働き家庭が安心して就労を続けられる社会基盤としての役割も果たしており、学童保育は子どもと家庭、ひいては地域社会全体を支える大切な存在となっています。

子どもの学習と遊びをサポート

勉強

学童保育では、放課後の子どもたちに寄り添いながら、学びと遊びの両方を大切にするプログラムが用意されています。

学習支援プログラムでは、宿題や課題ドリルのサポートを中心に、草花の観察や手作り工作、英語の歌を歌うといった体験型の学習活動も取り入れられています。こうした学びを通じて、子どもたちは自然に学力を伸ばすだけでなく、学習習慣を身につけたり、表現力や思考力を磨いたりすることができます。自分の力で取り組む経験が、自己肯定感の向上にもつながっていきます。


一方、遊びのプログラムでは、屋外でのびのびと体を動かす活動や、考える力を育む学習的な遊び、自由な発想で楽しむ創作活動が行われます。こうした遊びの時間は、子どもたちの社会性や協調性を育み、創造力や発想力を豊かにする貴重な機会となります。また、体を使った活動によって運動能力や健康も促進され、多様な価値観や文化への理解を深めることにもつながります。


学童保育は、安全で安心できる環境のなかで、子どもたち一人ひとりの個性を尊重しながら、未来に向かう力を育む大切な場所です。学力、社会性、創造性、身体能力など、多面的な成長を支え、子どもたちが自信をもって次のステップへ進めるように温かく見守っています。

保護者が安心して働ける環境づくり

学童保育は、保護者が安心して働ける社会を支える重要な存在です。昼間の時間帯に、小学生の子どもたちに安全で充実した遊びや生活の場を提供し、健全な成長を支援しています。特に共働き家庭にとって、学童保育の存在は不可欠と言えるでしょう。


保護者の就労支援における学童保育の役割としては、まず、フルタイムやパートタイムで働く保護者が安心できる環境を提供することが挙げられます。さらに、放課後の居場所づくりを通して、子どもたちの社会性や自立心も育まれます。2024年度からは、常勤職員の配置改善など、待機児童対策に向けた運営体制の強化も進められています。


また、家庭との連携方法として、保護者との面談やお便りで定期的に情報共有を行うほか、学校や地域とも協働し、安全対策や緊急時の対応についても連携を深めています。保護者の勤務形態や家庭の事情に応じた、柔軟な利用体制の整備も進められており、より安心できる環境づくりが図られています。

対象年齢と入所要件

学童保育の対象年齢は、一般的に小学校1年生から6年生(6歳~12歳)までとされています。ただし、自治体や施設によっては独自の基準を設けており、「低学年(1~3年生)を優先する」「1~3年生のみ受け入れる」といった制限がある場合もあります。また、障害のある児童については、中学3年生まで受け入れている施設も一部存在します。


入所に必要な条件としては、小学校に在籍していること(原則1~6年生)、保護者が昼間就労や疾病、介護、出産、就学、災害復旧、求職活動などにより家庭にいないこと、集団生活が可能であること、市区町村への住民登録があることが求められます。


入所申請に必要な書類には、学童保育所入所許可申請書、児童調査票、就労証明書や育児休業証明書、母子手帳の出産予定日記載部分などが含まれます。必要書類や細かな条件は自治体ごとに異なるため、事前に確認することが大切です。

学童保育の歴史と法改正のポイント

集まる子ども

学童保育は、戦後間もない時期に地域の自主的な取り組みとして始まりました。共働き家庭が増加する中で、子どもたちの放課後の安全な居場所を確保する必要性が高まり、徐々に制度として整備されていきました。
2000年代に入ると、女性の就業率上昇や家庭の多様化を背景に、学童保育の利用者数は急増。これにともない施設数も拡充されましたが、同時に待機児童や指導員不足といった課題も顕在化しました。
2015年には「子ども・子育て支援新制度」がスタートし、学童保育は「地域の子育て支援」の中核として正式に位置付けられました。さらに、2025年度からは開所時間加算の要件が見直されるなど、より柔軟で持続可能な運営体制へと進化しています。制度面・運営面の両方で改善が進められ、今後も質の向上と受け皿の拡大が求められています。

共働き世帯の増加による変遷

共働き家庭の増加にともない、学童保育の利用ニーズは年々高まっています。女性の就業率上昇や家庭の形の多様化が背景にあり、2023年5月1日時点の入所児童数は過去最多の140万4,030人に達しました(出典:NHK)。前年より約5万6,000人の増加で、特に低学年での利用が顕著です。


しかし同時に、待機児童の数も増えており、2024年には過去最多の1万8,462人に。これは2002年比で約3.1倍となり、「小1の壁」と呼ばれる課題も深刻化しています。共働き世帯の半数近くが、小学校入学時に預け先の確保で困難を感じているという調査もあります。


こうした需要を受け、施設数も大きく拡充されてきました。2015年には2万5,541か所(出典:全国学童保育連絡協議会)、2023年度には2万4,493か所、支援単位数は3万6,094にのぼります(出典:リシード)。
ただし、施設の規模拡大に比例して質の確保も課題となっており、指導員の配置や長期休暇時の受け入れ、有事対応など今後の整備が求められています。

子ども・子育て支援新制度のポイント

子ども・子育て支援新制度は、幼児期の教育や保育、地域の子育て支援の「量」と「質」の両面を充実させ、社会全体で子育てを支えることを目的に設計された制度です。この中で学童保育(放課後児童クラブ)は、「地域の子育て支援」の中核的なサービスとして位置付けられています。


制度の見直しでは、2025年度から開所時間加算の要件が変更され、1日6時間以上という基準は撤廃されます。今後は「平日午後6時30分を超えて開所」している事業所のみが加算の対象になります。また、待機児童対策として特に新小学1年生の受け入れ体制の強化が重視されています。


さらに、平日19時までや長期休業中の朝7時30分以前からの開所など、開所時間の延長も進められています。質の向上に向けては、福祉部局と教育部局の連携強化や、自治体による補助制度の活用も促進され、より柔軟で支え合える仕組みづくりが進んでいます。

学童保育の種類と特徴

学校

学童保育には大きく分けて「公立」と「民間」の2種類があり、それぞれに特徴や魅力があります。
公立学童は各自治体が運営しており、小学校の敷地内や児童館などを活用して実施されることが多く、料金も比較的安価です。登下校の延長線上で通いやすく、学校の友だちと安心して過ごせる環境が整っています。


一方で民間学童は、教育プログラムの充実や運営時間の柔軟性に強みがあります。英語やプログラミング、芸術活動など多彩な体験ができ、共働き家庭のライフスタイルに合わせやすい点も魅力です。送迎や食事の提供、宿題サポートなど、日常生活への配慮も行き届いています。
それぞれの特徴を理解し、家庭の状況やお子さまの性格に合った学童を選ぶことが大切です。

公立学童のメリットと選び方

公立学童は、各自治体が運営する「放課後児童クラブ」として、小学校の敷地内や児童館などを活用して実施されています。利用時間は、放課後すぐから18時以降までが一般的で、保護者が安心して働けるよう、子どもたちに安全な遊びや交流の場を提供することを目的としています。


公立学童のメリットとしては、まず民間に比べて利用料金が圧倒的に安価(月額4,000~10,000円程度)で経済的な負担が少ない点が挙げられます。また、学校の敷地内や近隣施設で運営されるため、通いやすく、登下校の流れの中で無理なく通える点も安心です。学校の友だちと一緒に過ごせることで、子ども同士のつながりも深まります。


選ぶ際のチェックポイント

  • 利用料金や減免制度の有無
  • 自宅や学校からの立地・送迎方法
  • 開所時間や長期休暇中の利用時間
  • 活動内容や学習・遊びのバランス
  • 指導員の人数・経験・対応力
  • 子どもたちの雰囲気や人間関係の様子

家庭の生活スタイルに合った学童を見極めることが、子どもにとっても保護者にとっても大切なポイントです。

民間学童の特色と活用法

民間学童は、公立と異なり、独自のプログラムと柔軟な運営体制が特徴です。英会話やプログラミング、そろばん、アート、ダンスなど、多彩な習い事を取り入れた体験型の教育が提供され、子どもの興味や個性を伸ばす環境が整っています。


また、延長保育や夜間、土日・祝日、長期休暇中の対応など、保護者の働き方に合わせた柔軟な利用が可能です。学校からの送迎、食事やおやつの提供、宿題のサポートなど、生活面の支援も充実しています。


民間学童を選ぶ際は、営業日や開所時間の柔軟さ、プログラムの質、費用の明確さ、送迎サービスの有無、スタッフの対応力や配置人数などをチェックしましょう。家庭のニーズや子どもの成長に合った学童を選ぶことが大切です。

学童保育の1日の流れと活動内容

歩く子ども

学童保育では、子どもたちは学校の下校後にそのまま施設へ向かい、夕方まで安心して過ごします。
鞄工房山本の奈良本店がある奈良県橿原市の例では、到着・着替え→宿題→おやつ→自由時間→帰宅準備という流れが一般的です。


宿題タイムには、スタッフがそばで見守り、質問への対応や時間配分のアドバイスも行われます。音読の相手や九九の聞き取りなど、家庭に代わる支援も見られます。
おやつの時間は、栄養補給だけでなく心を落ち着ける大切なひとときです。
自由時間には、外遊びや室内遊びを通して、社会性や運動能力、創造力を育む活動が行われます。
施設ごとに内容は異なりますが、いずれも子どもたちが安心して成長できる環境づくりを大切にしています。

平日の過ごし方とスケジュール

学童保育では、子どもたちは学校の下校時間にそのまま施設へ向かい、夕方まで安心して過ごすことができます。たとえば奈良県橿原市では、一般的に「到着→着替え→宿題(学習時間)→おやつ→自由時間→帰宅準備」といった流れが多く見られます。


学習時間には宿題に取り組み、スタッフが必要に応じてサポート。おやつの時間を挟んで、自由時間には外遊びや室内遊びを楽しみます。外遊びでは学校の運動場を使える場合もあり、ボール遊びやなわとび、一輪車など、子どもたちがのびのびと体を動かせる環境が整えられています。
一方、室内ではトランプやボードゲーム、本やマンガ、ごっこ遊びなどが人気です。施設によっては、寄付されたおもちゃや書籍が活用されることもあります。


なお、こうしたスケジュールや活動内容は、地域や施設によって異なりますが、どの学童保育も「安心して楽しく過ごせる時間」を大切にしています。

宿題サポートの内容

学童保育では、子どもたちが放課後に宿題へ取り組む時間をしっかり確保し、専任のスタッフや支援員が見守りながらサポートを行います。静かで集中しやすいスペースが用意されていることが多く、施設によっては参考書や辞書などの学習資料も備えられており、子どもたちは安心して学習に向き合える環境が整っています。
わからないところがあればすぐに質問できる環境があり、宿題の進め方や時間配分についても丁寧なアドバイスが受けられます。音読の相手や九九の聞き取りなど、共働きの保護者に代わって学習を支える取り組みも行われています。


また、すべての施設で宿題を強制しているわけではなく、子どもや保護者と相談しながら「どこまでやるか」を柔軟に決めている学童もあります。
学童保育の宿題サポートは、学習習慣の定着や自己学習力の向上、子ども自身の自信や意欲を育てることを大切にしています。

おやつと遊びの時間

外で遊ぶ子ども

学童保育におけるおやつと遊びの時間は、単なる「息抜き」ではなく、子どもの心と体の成長を支える大切なひとときです。
おやつは、成長期の子どもにとって重要な栄養補給とエネルギー源。特に共働き家庭では夕食が遅くなることも多いため、しっかり食べておくことで、空腹による集中力の低下を防ぐ役割も果たします。また、好きなおやつを囲みながらの時間は、心の安定とリラックスにつながり、安心して過ごせる空間づくりにも一役買っています。


遊びの時間には、外遊びや室内遊び、グループ活動を通じて、社会性や協調性、コミュニケーション能力が自然に育まれます。異年齢の子ども同士で遊ぶことで、譲り合いや思いやりの心を学ぶ機会も豊富です。さらに、新しい遊びへの挑戦や、友だちと一緒に目標を達成する体験を通じて、自己肯定感や挑戦する意欲も養われていきます。


おやつと遊びの時間は、心身の健やかな成長を支えるかけがえのない時間です。

学童保育の料金相場と利用条件

運動する子ども

学童保育の料金は、公立と民間で大きく異なります。
公立学童保育では月額4,000~10,000円程度が一般的で、地域によっては2,000円台やおやつ代のみの実質無料も見られます。
民間学童保育は月額30,000~70,000円が相場で、英語やプログラミングなどを含む施設では最大90,000円近くかかる場合もあります。送迎や食事、延長保育などの追加費用も発生しやすい点に注意が必要です。


また、長期休暇中には追加料金が発生することが多く、公立で1,500~2,000円、民間では最大9万円に達することもあります。
利用には、保護者の就労などにより家庭での保育が難しいことが条件で、申請書や証明書類の提出が必要です。内容は自治体ごとに異なるため、事前の確認が欠かせません。

月額料金の相場と内訳

学童保育の月額料金は、公立と民間で大きく異なります。
公立学童保育(放課後児童クラブ)の料金は全国的に4,000円~10,000円程度が一般的で、最も多いのは4,000円~6,000円未満、次いで6,000円~8,000円未満という調査結果もあります。平均すると3,000円~7,000円程度が相場とされ、地域差も大きいのが特徴です。


都市部は運営コストが高いため、地方よりやや高めで、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)では3,000円~8,000円、地方都市や郊外では2,000円~5,000円程度、中にはおやつ代のみ徴収し実質無料という自治体もあります。
一方、民間学童保育は料金が高めで、月額30,000円~70,000円程度が一般的です。英語教育やプログラミングなど専門プログラムを含む施設では、50,000円~90,000円とさらに高額になるケースもあります。


また、基本料金のほかに、習い事代、送迎サービス料、食事代、延長保育料などの追加費用が発生することも多く、東京23区では最大で月9万円近くかかる場合もあります。地域によっても大きく幅があり、地方では15,000円前後から利用できる施設もあります。

減免制度と補助金の活用

学童保育では、家庭の経済状況や生活環境に応じて、利用料が減額または免除される制度が多くの自治体で設けられています。たとえば奈良県橿原市では、兄弟で同時に利用する場合の減額や、生活保護世帯に対する利用料の助成(※おやつ代等の実費負担分を除く)といった支援が行われています。
申請の際には、減免・補助金申請書のほか、生活保護受給証明書や就学援助認定通知書の写しなどの証明書類の提出が必要です。


こうした制度の内容や申請方法は自治体ごとに異なるため、あらかじめ自治体の窓口や公式サイトで確認しておくことが大切です。少しの手間で経済的な負担を軽減でき、安心して学童保育を利用するための助けになります。

長期休暇中の料金システム

学童保育では、夏休み・冬休み・春休みなどの長期休暇中は通常よりも預かり時間が長くなるため、追加料金が発生するケースが多くなります。追加料金の設定方法は自治体や施設によって異なり、月額で加算される場合と、1日単位で加算される場合があります。
たとえば公立学童保育では、長期休暇中に1,500~2,000円程度の追加料金が一般的ですが、自治体によっては夏休みのみで1万円以上かかるケースもあります。さらに、延長保育や土曜日の利用には別途料金が発生することもあります。


一方、民間学童保育では月額料金が大幅に上がる傾向にあり、長期休暇中は4万~9万円程度になることもあります。利用日数や時間帯、プログラム内容に応じて細かく料金が設定されているのが特徴です。
利用前には、希望する施設や自治体の料金体系や追加費用の有無を必ず確認するようにしましょう。

失敗しない学童選びのポイント

登校する子ども

学童保育を選ぶ際は、「立地」と「人員体制」の2つの視点が特に重要です。
まずは立地条件と通所のしやすさ。小学校の敷地内やすぐ近くにある学童は、下校後にそのまま移動できるため、特に低学年の子どもにとって安心です。交通量や防犯対策も確認したいポイントです。また、車や自転車での送迎がスムーズにできるよう、駐車場や駐輪場の整備状況もチェックしておきましょう。


次に重要なのが、指導員体制と子どもとの比率です。原則として1クラスに2名以上の指導員が配置され、うち1人は資格を持った「放課後児童支援員」である必要があります。実際には、より手厚く4人以上配置している施設も増えています。指導員1人あたりの子ども数は20人以下が目安です。
加えて、継続的な研修や地域人材の活用など、質の向上に取り組む姿勢があるかどうかも見極めのカギ。安心・安全な環境づくりに力を入れているか、実際の運営方針を見て判断しましょう。

立地条件と通所のしやすさ

学童保育を選ぶうえで、施設の立地条件は非常に重要なポイントです。特に共働き家庭や低学年の児童にとっては、「通所のしやすさ」がそのまま保護者の安心感に直結します。
まず重視されるのが、安全な通所経路の確保です。交通量の少ない道や信号の配置、防犯カメラの設置状況などが配慮されている施設では、子どもが一人で通う際も不安が軽減されます。
多くの自治体では、小学校の余裕教室や敷地内に学童保育を設置しており、下校後にそのまま移動できる仕組みを整えています。これは特に小学校低学年の子どもにとって安心できる仕組みです。


また、駐車場や駐輪場の整備状況も保護者にとって重要です。送迎時の混雑や近隣への迷惑を防ぐため、車や自転車での送迎がスムーズに行える環境が整っている施設は、家庭の生活リズムに合った通所を実現しやすくなります。
さらに、地域との連携が密な施設では、地域住民の目も防犯の一助となり、安心して利用できる環境づくりが進められています。

指導員体制と子どもの人数

学童保育(放課後児童クラブ)では、子どもが安心して過ごせる環境を整えるために、指導員の配置体制が重要です。基本的には1クラス(40人以下)に対して指導員2人以上を配置し、そのうち1人は「放課後児童支援員」の資格保有者であることが求められています。
実際には、指導員を4人以上配置している施設も6割を超えており、より手厚いサポート体制が整えられています。目安としては、指導員1人につき子ども20人程度が上限とされるのが一般的です。


また、質の高い支援を行うためには、有資格者の配置だけでなく、継続的な研修の実施も重要です。初任者や中堅職員向けの専門研修や現任研修が行われ、知識と対応力の向上が図られています。
さらに、地域ボランティアや定年退職者など多様な人材の活用も進められており、子どもたちがさまざまな大人と関わる機会は、成長の幅を広げることにもつながります。安定した人間関係の構築や障害児支援への対応も含め、安心できる体制づくりが求められています。

学童保育の課題と将来性

遊ぶ子ども

学童保育は、共働き世帯の増加や「小1の壁」といった社会的背景を受け、その役割がますます重要視される一方で、待機児童の増加や支援員の人材不足といった深刻な課題を抱えています。こうした状況に対応するため、各地では施設の拡充や運営体制の見直し、柔軟な制度の導入など、さまざまな対策が講じられています。


今後は、学童保育が単なる預かりの場ではなく、子どもたちの成長や学びを支える生活の一部として、より質の高い支援が求められるようになります。地域や民間との連携、多様な人材の活用、ICTの導入なども含め、持続可能で誰もが利用しやすい仕組みづくりが求められています。将来的には、すべての子どもが安心して放課後を過ごせる環境の実現が目指されています。

待機児童問題の解決策

共働き世帯の増加や「小1の壁」といった社会的背景を受け、学童保育の待機児童問題は年々深刻化しています。こうした課題に対応するため、各自治体ではさまざまな対策が進められています。
まずは、学校施設や公共施設の有効活用が挙げられます。小学校の余裕教室や体育館、児童館、保育所の空きスペースを学童保育に活用し、受け入れ枠を広げる取り組みが進んでいます。
また、長期休業中のみ開設される学童保育の設置や、児童館・保育所の開所時間延長や機能の多様化も、受け入れ体制の強化に寄与しています。


さらに、民間事業者の参入支援も注目されており、塾やスポーツクラブなどが学童保育に参入しやすくなるよう、補助金や物件紹介などの支援が行われています。
あわせて、DXによる職員の業務負担軽減や、利用調整の強化も取り組みの一環です。
成功事例としては、東京都世田谷区の「新BOP」事業があり、放課後子ども教室と児童クラブを一体的に運営し、全小学校で放課後の居場所を確保。柔軟な受け入れで待機児童の緩和に成功しています。(出典:https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/kosodate17/dl/01.pdf )

支援員不足の改善方法

学童保育における支援員不足は、全国的な課題となっています。背景には給与・待遇の低さ、業務量の多さ、資格要件の厳しさや人材の高齢化などがあり、利用児童数の増加によってさらに需要が高まっています。
こうした状況に対し、国や自治体ではさまざまな改善策を講じています。まず、処遇や給与の改善として、「放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業」による支援員の賃金向上が進められています。
また、資格取得支援や基準の緩和も重要です。テキスト代や交通費の助成など、資格取得にかかる費用を自治体が補助する制度が導入されています。

さらに、ICTの導入や民間委託による業務効率化、子育て中の人や主婦層など多様な人材の活用も効果的です。

成功事例としては、宮崎県延岡市が、利用児童が19人以下の時間帯は支援員1人でも運営を可能とする条例改正を行い、柔軟なシフトが可能となり職員確保が進みました。(出典:https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/jirei/2022/kaiketsu06.html

まとめ

ピースする子ども

学童保育は、子どもたちが安心して放課後を過ごし、学びと遊びを通じて成長できる貴重な居場所です。また、働く保護者にとっては、家庭と仕事の両立を支える社会的インフラとも言える存在です。近年では施設数の拡充や運営体制の見直しが進む一方で、待機児童の増加や支援員の人材不足といった課題も抱えています。これからの学童保育には、柔軟な運営と多様な人材の活用、地域や民間との連携がより一層求められます。子どもたちの「放課後の安心」と「未来への力」を支える場として、今後も学童保育の果たす役割は大きく広がっていくことでしょう。

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