夢こうろ染(5) 〜二都を結ぶ必然~

夢こうろ染

奥田祐斎先生が黄櫨染と出会ったのはどういう経緯だったのだろうか?
「かっこいい日本独自の染めはないか?と探し始めた事ですね。
日本にある染めの技術の多くは、元々は外国から来たものです。大島紬などに用いられる、染織りは中東等海外で4000年以上前に始まったものですから。
専門家として日本古来の染めとは何か、突き止めたくなった訳なんです。そうして、同じような光による輝き方と色の違い、高い発色性を生み出すための染料の配合などを新たにつくり出す事。それが自分がやった事です。」
そんな黄櫨染を調べるうちに奈良と京都のつながりが必然であると語った。
「奈良時代までは中国のきらびやかなものがかっこいい、と思われていた。嵯峨天皇と空海によって作られた国風文化は、中国に学びつつも日本の風土を生かしたものになりました。
比較をする時に見るといいのは服なんです。それまでは包み込むもの、自然と闘う形であったのが、自然と一緒になって過ごして行こう、という風になった。寒いから風が入ってこないように止める事で対応していたのが、和服になって自然と風が入ってくるようになったんです。」
先生が言うには、「日本のルネッサンス」。
同じ考えが建物にも通じている。西洋や中国等では壁で風を止めてしまうが、日本の伝統的な建築様式は柱の文化。風をうまく通す事を考えたものだ。
奈良での大陸から渡ってきた文化を基礎として、自然とともに生きる事が京都で形作られた訳である。
夢こうろ染のランドセル
ランドセルも、オランダのランセルが起源と言われ、奈良の鞄工房山本がつくるランドセルと京都の奥田祐斎先生の夢こうろ染とが出会ったのだ。
それは、人と人が繋げた縁だけではなく、出会う事が必然であったのだ。

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